憲法改正のルールを定めた国民投票法改正案の今国会中の成立に向け、政府・与党が着々と野党を切り崩している。日本維新の会がすでに与党との共同提出に応じる方針を決めており、自民党はさらにみんなの党や結いの党への働きかけを強める。一方の民主党は協議には応じるものの、考え方の隔たりが大きく、対決姿勢を強調しすぎれば、野党間で孤立する可能性もある。(沢田大典、千葉倫之)

 維新がいち早く与党と共同提出することで合意したのは5日。与党案は投票年齢を改正国民投票法の施行から4年間は「20歳以上」に据え置き、その後は自動的に「18歳以上」にするほか、公務員の活動にも一定の制限を加える内容だ。野党の中でもひと際、改憲志向が強い維新は与党に協力することに二の足を踏むことはなかった。

 自民党の実務者を務めている船田元・憲法改正推進本部長が次に目をつけたのはみんなの党だった。船田氏は憲法担当実務者の松沢成文参院議員と10日に会談。松沢氏は公布後1年以内に選挙権を18歳以上とすることにこだわるが、首相と「戦略対話」を行うことで合意した渡辺喜美代表の鶴の一声によって共同提出に乗る可能性は低くない。

 船田氏の“野党行脚”は続く。12日にはみんなから分裂した結いの党の柿沢未途政調会長と会談。柿沢氏は会談後、記者団に「若干の開きはあるが方向は同じだ。前向きに考える余地は十分ある」と共同提出に含みを残した。

 維新とみんな両党は昨年の臨時国会で、特定秘密保護法の修正協議をめぐり安倍晋三首相への「接近争い」を演じており、国民投票法改正案の扱いでも、与党側は「責任野党」と位置付ける維新、みんな両党のライバル意識を巧みに利用している印象が強い。

 結いには合流を目指す維新との足並みを乱したくないとの思惑がある。維新の石原慎太郎共同代表に「護憲政党」のレッテルを貼られているため、独自案にこだわりすぎれば、その風評を助長しかねないという思いもあるようだ。

 もっとも特定秘密保護法の場合、与党側は維新、みんな両党と修正合意したにもかかわらず、維新が衆参両院本会議、みんなは参院本会議でそれぞれ採決を棄権し、自民党国対は失態をさらす格好となった。

 このため、今回は丁寧に協議を進めており、自民党幹部は「強引といわれた特定秘密保護法の教訓が生きている。丁寧な根回しが奏功しそうだ」とほくそ笑む。

 維新、みんな、結いと対照的なのが民主党だ。

 民主党は14日、憲法総合調査会(枝野幸男会長)に船田氏を招き与党案の説明を受け、修正協議入りすることを決めた。だが、枝野氏は、船田氏の面前で首相の憲法解釈に関する「最高責任者は私だ」との発言を「国辱的」と挑発。船田氏は民主党が公務員の自由な活動を求めていることを踏まえ「妥協する部分は少ない」と大幅修正に後ろ向きな考えを示した。

 与党は民主党の賛同が得られなくても月内に議員立法で改正案を提出し、4月中に成立させる段取りを描く。党の独自性にこだわりすぎれば民主党は孤立しかねない状況に追い詰められつつある。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140216/stt14021621500002-n1.htm

 



YOUTUBE